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三平方の定理と相似

結論

直角三角形 △ABC\triangle ABC (直角は CC) で、直角をはさむ2辺を BC=aBC = a、CA=bCA = b、斜辺を AB=cAB = c とすると、つねに次が成り立つ。

a2+b2=c2a^2 + b^2 = c^2

触ってみよう

直角三角形 △ABC\triangle ABC の、直角をもつ頂点 CC から斜辺 BABA へ垂線 CHCH を引きます。ボタンでステップを進めながら、図を動かして確かめてください。

直角三角形 ABC。直角は C。

△ABC
24.86
△CBH
11.13
△ACH
13.73
CBH + ACH
24.86

証明① 面積比

上の図で見た3つの相似から、面積の比で示す。

三平方の定理の証明①

直角三角形 △ABC\triangle ABC で、直角をもつ頂点 CC から斜辺 BABA に向け垂線 CHCH を引く。

はじめに、垂線の足 HH の位置を確かめておく。∠ACB=90∘\angle ACB = 90^\circ なので ∠ABC+∠BAC=90∘\angle ABC + \angle BAC = 90^\circ であり、この2つはどちらも鋭角。もし HH が BB の外側 (ABAB の延長上) にあるとすると、∠CBH\angle CBH は ∠ABC\angle ABC の外角になり、∠ABC\angle ABC が鈍角になってしまう。AA の外側でも同じ。また HH が BB や AA に重なると、その頂点の角が直角になってしまう。よって HH は BB と AA の間にある。

このことから、∠CBH\angle CBH は ∠ABC\angle ABC そのもの、∠CAH\angle CAH は ∠BAC\angle BAC そのものであり、さらに垂線 CHCH は △ABC\triangle ABC を2つの三角形に分ける。

そのうえで、△ABC\triangle ABC と △CBH\triangle CBH を比べると、∠ACB=∠CHB=90∘\angle ACB = \angle CHB = 90^\circ で直角が等しく、頂点 BB の角は共通。△ABC\triangle ABC と △ACH\triangle ACH を比べると、∠ACB=∠AHC=90∘\angle ACB = \angle AHC = 90^\circ で直角が等しく、頂点 AA の角が共通。どちらも2組の角がそれぞれ等しいので、

△ABC∼△CBH\triangle ABC \sim \triangle CBH …①

△ABC∼△ACH\triangle ABC \sim \triangle ACH …②

であり、①と②をまとめると、

△ABC∼△CBH∼△ACH\triangle ABC \sim \triangle CBH \sim \triangle ACH …③

となる。

③の対応の順に頂点を見ると、直角をもつ頂点はどれも3番目 (CC、HH、HH) にくる。斜辺はその頂点と向かい合う辺、つまり1番目と2番目を結ぶ辺なので、順に AB=cAB = c、CB=aCB = a、CA=bCA = b。これらの直角三角形のそれぞれの斜辺から、相似比は c:a:bc : a : b。

3つとも直角三角形なので、面積は「直角をはさむ2辺の積の半分」で出せる。対応する辺が kk 倍になっていれば、その2辺もどちらも kk 倍なので、面積は k2k^2 倍になる。そのため、面積比は c2:a2:b2c^2 : a^2 : b^2 となる。

したがって、3つの直角三角形の面積は、正の数 kk を用いて、

△ABC=c2k△CBH=a2k△ACH=b2k\begin{aligned} \triangle ABC &= c^2 k \\ \triangle CBH &= a^2 k \\ \triangle ACH &= b^2 k \end{aligned}

と表せる。

垂線 CHCH が △ABC\triangle ABC を2つに分けていたので、△ABC=△CBH+△ACH\triangle ABC = \triangle CBH + \triangle ACH であるため、

c2k=a2k+b2kc^2 k = a^2 k + b^2 k

面積は正の数だから k>0k > 0。両辺を kk で割ると、

c2=a2+b2c^2 = a^2 + b^2

と三平方の定理が求まった。∎

証明② 辺の比

同じ図を、面積ではなく長さだけで見る。垂線の足 HH は斜辺を BHBH と AHAH に分ける。相似から出てくる a2=c⋅BHa^2 = c \cdot BH は、辺 aa の上の正方形が、斜辺の正方形の BHBH 側とちょうど同じ面積、という意味です。

垂線の足 H が、斜辺 c を BH と AH の2つに分ける。

a²
44.77
c・BH
44.77
b²
55.23
c・AH
55.23
a² + b²
100.00
c²
100.00
三平方の定理の証明②

直角三角形 △ABC\triangle ABC で、直角をもつ頂点 CC から斜辺 BABA に向け垂線 CHCH を引く。

証明①で確かめたとおり、HH は BB と AA の間にある。このとき、直角と共通な角より、2組の角がそれぞれ等しいので、

△ABC∼△CBH\triangle ABC \sim \triangle CBH …①

△ABC∼△ACH\triangle ABC \sim \triangle ACH …②

である。

①より、対応する辺の比は等しい。A→B→CA \to B \to C と C→B→HC \to B \to H が対応しているので、1番目と2番目を結ぶ辺どうし (ABAB と CBCB)、2番目と3番目を結ぶ辺どうし (BCBC と BHBH) を並べる。あとは内項の積と外項の積が等しいことを使って、

AB:CB=BC:BHBC2=AB⋅BHa2=c⋅BH\begin{aligned} AB : CB &= BC : BH \\ BC^2 &= AB \cdot BH \\ a^2 &= c \cdot BH \end{aligned}
…③

であり、同様に②より、A→B→CA \to B \to C と A→C→HA \to C \to H が対応している。1番目と2番目を結ぶ辺どうし (ABAB と ACAC)、3番目と1番目を結ぶ辺どうし (CACA と HAHA) を並べて、

AB:AC=AC:AHAC2=AB⋅AHb2=c⋅AH\begin{aligned} AB : AC &= AC : AH \\ AC^2 &= AB \cdot AH \\ b^2 &= c \cdot AH \end{aligned}
…④

が求まる。

③, ④ より、HH が BB と AA の間にあることから BH+AH=BA=cBH + AH = BA = c なので、

a2+b2=c⋅BH+c⋅AH=c (BH+AH)=c⋅AB=c2\begin{aligned} a^2 + b^2 &= c \cdot BH + c \cdot AH \\ &= c\,(BH + AH) \\ &= c \cdot AB \\ &= c^2 \end{aligned}

と三平方の定理が求まった。∎

この2つの証明は三平方の定理を使っていないか (循環論法チェック)

証明①で使ったのは「2組の角がそれぞれ等しい三角形は相似」「相似な直角三角形の面積比は相似比の2乗」「全体の面積は分けた2つの和」の3つ。証明②はさらに少なく、相似と「内項の積=外項の積」と BH+AH=BABH + AH = BA だけで、面積すら使っていない。どれも三平方の定理を前提にしていないので、循環論法にはなっていない。

証明①の2つめも、一般の相似図形についての面積定理を持ち出す必要はない。ここに出てくるのは直角三角形だけなので、面積 =12×(直角をはさむ2辺の積)= \tfrac{1}{2} \times (\text{直角をはさむ2辺の積}) という式で足りる。

表記のまとめ

項目内容
相似関係△ABC∼△CBH∼△ACH\triangle ABC \sim \triangle CBH \sim \triangle ACH
相似比 (斜辺の比)c:a:bc : a : b
面積比 (証明①)c2:a2:b2c^2 : a^2 : b^2
斜辺の分割 (証明②)BH+AH=cBH + AH = c
辺の比の関係式 (証明②)a2=c⋅BH,b2=c⋅AHa^2 = c \cdot BH, \quad b^2 = c \cdot AH
結論c2=a2+b2c^2 = a^2 + b^2
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